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2018-02-02

静物油彩デモンストレーション 後半

③ ここからが折り返し地点で『描き込み』となります。

ナイフで不器用に描いてきたフラストレーションがたまっているので、細かい筆なども多用してモチーフの表情を捉えていきます。

色合いもちょっと染まって見えるので、固有色に近い、彩度の高い色を差していきます。

20180128_155202切り取りのコピー3 60


あくまでベースで作った空間に準じて描いていきます。

そう、“空間”と“モチーフの構造性”が大事なのです。

ドライフラワーはマゼンダのような色をしていますが、手前の華には思い切ってカドミウムレッドパープルなどを使用して、色相を幅を広げています。

ネガティブスペースがわりと大きいので、布地もポジスペース的に扱う意味もあって、柄を積極的に捉えていきます。

①の段階では小さなストライプを空気遠近的に捉えてましたが、花を描くことで全体の関係性に変化が出てきたので、臨機応変に手前のストライプ柄を少し殺しています。

ガラス瓶の取っ手が深い青なので、その印象はいただきです。 でも全部が固有色になってしまうとせっかくの全体との不調和を生んでしまうので、一部紫色などを置いて多色相にします。

たまたまですが、ここまでで1時間。 ①と②を入れると4時間です。

写真ではほとんど描き込んでいないよにう見えてしまいますが、ある程度一生懸命モチーフの面白い所を引き出そうと努力しています。

努力と言っても、つらい気分ではなく、とても楽しく描いています。

でも、絵は常に立ち止まって休み休み描くのが常道です。

じっくり見て、途中経過の絵と対話する時間がどんどん必要となります。



④ プロセスの4番目はですから、じっくり自分の絵を見て、絵自体が次にどこをどう手入れして欲しいのか聞き出す作業なのです。

そこでいくつかの方針が明快になりました。

a 画面左のドライの下部分=布地 → さらに暗い色面を作る。

b ガラス瓶と材木との間にある空間が明るすぎて目立っているので、少し暗くする。

c 材木の上部陰部分が暗すぎて空間を壊しているので、少し明るくする。

d ガラス瓶自体に説得力を持たせる。

e ドライフラワーの枝をちゃんと描く。

f 画面上部の空間が寂しいので、本来そこにはない柄を“捏造する”。

g 材木の木目をもっと描く。

h 手前に落ちている花の枝をちゃんと描く。

などの方針を決めた上で、作業していきます。

20180128_155202切り取りのコピー4 60  (再度掲載)


特にガラス瓶は映り込みを描くなどして、ちょっと立体的に過ぎたかもしれません。リアル過ぎる、と言いますか・・・。

あまりリアルを追求するとせっかくの詩情が失われるので注意しないといけません。

結果的に材木の樹皮部分にオレンジ色を用いるなどして面白い描写になりました。

木目部分も面白くなりました。

aからhまでをこなして、それでも気に入らない所、描き足りない所は目に見えて来ます。

それらを気に入るまでああでもないこうでもない、しながら完成へと持っていきます。

この時は理屈ではなく、本当に感覚的な仕事です。

あとから理屈で説明出来るのかもしれませんが、右脳全開。右脳の感覚機能だけを頼りに追求します。

最終的には白い円錐(石膏)がチープだったので、少しでもコクを出そうともがきました。

写真では、このもがき、は見えないかもしれませんが、かなり取ったり付けたりして逡巡しています。

ジグソーパズルの最後のピースを当てはめるような感覚でもありますが、注意深く、1mm単位で緻密な作業をします。

もっとも緊張する時間です。
  
ちょっとでも色がズレたりすると全体感が台無しになってしまいます。

と言うか、この時点で絵画としての緊張感をかなり高い所まで引き上げているのです。

“緊張感””が高ければ高いほど微細な所が影響するし、ちょっとのことで絵が壊れてしまいます。

この“絶妙の領域”を体験出来るのも、このプロセスでの味わいの一つです。

完成まで合計5時間。 美大の試験ではだいたい6時間で制作させる所が多いですが、絵の中での関係性が構築出来ればそれでOKです。


20180128_155202切り取り集合体50%





 この絵に関しては、あくまでプラクティスであり、人前に出すタブローではありません。

つまりまだ“表現の段階”に達するものではありません。

しかし、“表現”をして行く上での基本的な力を蓄える練習にはなっています。

この“プラットフォーム”にいったん乗ることで可能性がぐんと広がるのです。


例えばDaniel CASTANさんの絵を見てみましょう。

9591799_castan-2016-5.jpg

彼の絵が、以上のような手法の延長線上にあるのが感じられると思います。

また、歴史上の巨匠であるベラスケスの絵を見ても、色彩が絶妙にコントロールされているのが見て取れます。

そして明暗計画が何より重要なのです。

Velázquez_-_de_Breda_o_Las_Lanzas_(Museo_del_Prado,_1634-35)

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プロフィール

キヌケン

Author:キヌケン
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横須賀は衣笠という町で絵の教室を主宰しております。
私自身は、東京藝術大学絵画科油画専攻(学部・大学院)に学びました。
個展、美術の祭典・東京展(上野)、および現代絵画シリウスというグループを結成して活動してます。

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