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2022-04-03

合格おめでとう!

 年度も変わってしまいましたが、2021年度の美大合格者を紹介します。

まずは女子美ビジュアルデザイン科合格のM.A.さん。
デッサン力も、色彩構成力もあって、その次の勉強、つまり作家研究も旺盛にがんばっていました。

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 ↑の作品は現代日本デザイン界の思想的リーダーとも言える原研哉氏の【むすび】のシリーズより想を得て、『LIFE』というイメージでオリジナル作品を描きました。
中に胎児がいます。
 A.さんは、センスの良さと頭の良さを持っていますが、自信が付いていかない面がありました。
確かに自信って、なかなか付くものではありません。
コツコツ積み上げていく中でやっと獲得出来るものです。
焦らず、じっくり人生歩んで行きましょう☆


 次は武蔵野美大工芸工業デザイン合格のK.K.さん。
彼女は9月から本格的に美大受験の勉強に入りました。
それまで推薦での普通大を目指していたのですが、本当に自分のやりたい事は何か?と自問自答して、思い切って方向転換したそうです。

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↑・・・写真は展示会のものであまり良く写ってませんが、木炭紙大画用紙にのびのびと描きました。
もともと学科はやっていたので、教室で模擬試験を受けてもらったところ、国語=84点、英語=70点を出して、このまま傾向と対策を絞っていけば十分合格圏内に行けるな、と思い、指導を綿密に行いました。
デッサン力のテコ入れのためにも、彼女のために静物デッサンのデモンストレーションを数回行いました。
理解力がとてもある優秀な生徒さんでした。


 次は、女子美立体デザイン科に推薦合格したS.U.さん。
彼女はいろいろ大学見学に行きながらも、女子美の温かい雰囲気に憧れて同大を選びました。

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↑は木炭紙大の石膏デッサン=マルスです。
身体の立体感がよく出ています。
考え方が大人で周囲に気を配ることも出来る優しい子です。
大学に入っても、自分のペースで大いに学んで下さい☆


 次は、女子美短大に推薦合格したA.S.さん。
少しデッサンは嫌いだったかもしてませんが、独自の感覚を持っていて、センスの良い生徒さんでした。

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↑は高校で描いたもの。
82.5×82.5cmもある、けっこう大作です。
この絵を見ても、好き嫌いがハッキリしている人、というのがよく分かると思います。
好き嫌いがハッキリしている、ということは、美術をやる上でアドバンテージがあります。
最初から自分の尺度を持って判断出来るからです。
今後嫌なことも課題として立ちはだかるかと思いますが、その時どうするか?
自分なりに仕事のジョイを持って取り組めるようになると良いですね☆


 次は筑波技術大学産業デザイン科に推薦合格したK.M.さん。

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↑この絵は東北のコンクールで見事賞を取ったものです☆


小論文がネックでしたね!
ダメ出ししても何度も喰らいつてくるその粘り強さに私も驚いていました。
ガッツがある子です。
大学という存在が要求して来る思考は、普通に高校生活を送っている学生にとってはいきなりハードルが高いものです。
何度も小論文を書いていく中で、社会とはどんなものか? 自分がどのように社会と関わって行けばよいのか? いろいろ勉強して成長しましたね☆
大学に入っても、時間をかけて、集中して行けば何も恐れることはありません。
充実した大学生活を送って下さい!


 最後ですが、横浜美術大学に推薦合格したM.T.さん。
T.さんも8月からの発進で遅めの対策でしたが、頑張りました。

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上は、提出作品の一枚。
ゼンタングルに彩色といった手法です。
背景を漆黒に塗ったことが成功しました。
普通モノクロームで密度が出ているものに有彩色をかぶせていくと、テンションが下がることもあるのですが、これは驚くほど良くなりました☆
彼女はコミックアートも手掛けていて、ネット上ではプロとして作品を販売しています。
今後の活躍を見守りたいと思います。


 取り敢えず以上となりますが、こうした作品を今、横須賀市文化会館市民ギャラリーにて展示しております。
4月5日までなので、あまり日にちはありませんが、興味がある方は是非観にいらして下さい。
一般の部も大作・秀作がゴロゴロあり、見応え充分かと思います。


◯第46回・三彩会展  -横須賀市文化会館市民ギャラリー第1室 
                10:00-18:00 最終日=16時まで



2022-02-08

デッサン実演訪問スタートします☆

長らく美大入試指導をしていて、痛切に思うことがあります。

それは、当教室のような小規模な教室の場合、なかなか言葉では伝えきれないな、ということです。

例えば、「デザイン科のデッサンで最も基礎的に要求されるのは、【構造】ですよ。それは表面描写より大切なことで、モチーフの形態感=立体感と、モチーフ同士の空間感です。」と言っても、学生は「はぁ~~? わかんなーい!」となってしまいます。

それを図で説明してもなかなか伝わりません・・・。

学生のデッサンに手を入れても、全然伝わりません。

いつしか、私が最初から最後まで、デッサンを描いて見せることになりました。

そうすると、学生は無言ではありますが、次に描くデッサンのクオリティが二段階くらいアップします。 【やり方=描き方】のコツが分かるのですね。 内心、「ああ、こう描けばいんだぁ~♬ 私にもちょっと出来そうかも。。」となるようです。

私も昔、同じような経験をしました。

浪人時代、予備校の先生が「田所、クロッキーというのは、こういう風に描くんだよ!」と言って、20分のクロッキーをコンテで描いて下さったのです。 そこで私はクロッキーの何たるかを完全に会得したのでした。(クロッキーとはただ早く描くことではなかったのです!)

いずれにせよ、先生がお手本で、それも最初から最後まで描いて見せてくれることは、生徒の身体にスゥーッと入って来ます。もう理屈ではありません。 それも見ている生徒は2~4人までと、限定された方が効果が上がります。まずもって、10人とかになると、遠くて見えなくなったりします。多ければ多いほど集中力も途切れます・・・。

いつしか私は学生に対して、デッサンや油彩のデモンストレーションを行うようになりました。それが一番伝わりますね。

ただ、私が最も注意しているは、いちいち説明しながら描く、ということです。

いつも口酸っぱく言っていることを実演して分かってもらいます。

基礎の基礎ですね。

私も最も得意としているスキルが、デモンストレーションになります。

そこで考えました。

何も教室だけでやらないでも、外に出張してデモンストレーションやってもいいな、、と。

世の中、美大合格レヴェルのデッサンのプロセスを実見してみたい学生さんや親御さんもいるでしょう。 美大受験しなくても、プロが描くデッサンを映像ではなく、実際に見て、説明もされる、というのは貴重な経験になるのではなかろうかと・・・。

そうした【需要】にお応えするために、【先生がお家にやって来る!】という特別講座を開設することにしました。

基本は、私立美大の合格レベルを見ていただこうという主旨ですが、【手のデッサン】【人物デッサン】さらに、【静物油彩Ⅰ=固有色で描く】【静物油彩Ⅱ=色相変換で描く】と、ご要望にお応えします。 

このブログをご覧になった方で、デモンストレーションを見てみたい、という方や、そういう希望を持ってらっしゃる方がいれば、是非とも紹介いただきたく思います。

詳細はHP上に記載してあります。 http://kinuken-yes.ivory.ne.jp/

【実施中】静物デッサン実演訪問

という所を押していただけると、そのページに飛びます。

何卒よろしくお願い致します。

ここでは、ごくごく簡単な進行をアップします。

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あえて難しいモチーフにトライしてみました。

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まずは構図・形取りです。ここで失敗しないことです。画面いっぱいを使い、すこし切るくらいで丁度よいでしょう。


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これがいわゆるベースの仕事です。
形態感と空間感の仕事をします。
台の調子も入れて全体感も把握します。

とてもとても大事なプロセス。 初心者にはまず出来ません。


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私の場合、ベースの仕事を二段階にして、かなり描き込みますが、これはもう後半戦に移っています。一番良くないところは、右側のテニスボールが手前のガラス瓶より前に出て来てしまっているところです。もちろん細部のツメもまだまだです。


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最終的には、3時間でこんなものです。
ボールの位置を定位させ、櫛も描き込み、ガラス瓶の立体感も強調しています。
手前の物ほど立体的に見えるので、そう描くのです。
ダクトは色数が豊富になるよう心がけます。見せ場になる美味しいモチーフ。
でも、単調に描くと減点になってしまいます。
そのあたりの【塩梅】がとても重要になって来ます。
本当にいちいち細かく説明しながら描きます。

とても勉強になると思います。

私が出張します。

大げさに言えば、関東圏ならどこでもOKです。

デッサン用具と簡易イーゼルとモチーフを担いで、どこでもお邪魔します!

一回こっきりの【見世物】ですね。

私が受験生だったら、身銭切って依頼するサービスだと思うのです。

特にこのブログを初めてご覧になった方へ。

どうそ前向きにご検討下さい☆

(ご連絡はHP最下段ー【お問い合わせ】から、お願い致します。) http://kinuken-yes.ivory.ne.jp/

2022-01-15

南牧村コレクション展

 みなさま、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

 さて、1月9日(日)にわたくし、長野県は南牧村まで日帰りにて遠征して参りました。
以前個展をやらせていただいた南牧村美術民俗資料館から電話を頂戴しまして、『今、館内でコレクション展やってて、あなたの作品も展示していますよ。』と連絡を頂戴したからです。

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 ポスターにも掲載していただきました☆(左上の寺院が私の作品です。)

朝8時の電車に乗って12時半到着予定と組んでいたのですが、横須賀線が途中で止まってしまい、大幅にタイムロス。
結局資料館のある野辺山駅に着いたのが14時11分となりました。
貨物車両点検のため、不通となりました、とのアナウンスに憤りが隠せません。
その言い分って電車事情に詳しくない人にとって疑問符な説明ですよね。
貨物車両の点検なんて引き込み線でやってくれよ、と思ってしまいます。
JRさんにはもっとうまい口実を考えてほしいですね。
結果的に移動時間だけで往復11時間もの強行軍となりました。
でも、車で行くのも怖い季節です。
まだドカ雪にはなってませんでしたが、日陰の路面が凍結しているので、うっかり滑ってどこまでも山の中に落ちていく図も想像出来ます。
まあ致し方ありません。。

ということで着きました、野辺山駅。

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冬の八ヶ岳は空気も澄んでて綺麗ですね。
雪がかぶっていることで山々の特徴が強調されます。
夏の八ヶ岳はビジュアル的にちょっとモワッとしています。
寒くなければ、冬にスケッチしたいよね、と強く思いました。
あと、横須賀では決して見ることの出来ない美しい風景に、遠路はるばるの苦労も吹き飛びました☆

まず館内に入ってすぐの壁に私の寄贈した作品が4点、並んでいました。

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一番右の作品は東京展の福井昭雄先生のものです。

時期が多少ズレている作品4点なので、違和感があるかな、と思いきや、意外と同じような雰囲気を持っていて、同一人物の絵だと分かるように思います。
不思議です。
右端の100号作品『水時計-機-』は2000年くらいでしたでしょうか、以前銀座にTEPCO銀座館という東京電力のショールームがあって、そこで開催されていた【エネルギー賞展】というコンクール向けに描いたもの。
700点以上の応募があって、その中で最優秀賞を頂戴した想い出深い作品です。

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往時はまだ若かったので、100号作品を一ヶ月で仕上げました。
瞬発力があったなあ、、と感慨深いです。笑

東京展関係者でいうと、他に本多陽子さん。

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『風神雷神』のような、金と銀との爽やかなムーブメント。
クリスマスとお正月にふさわしい艶やかな作品が入って真正面の壁に据えられていました。

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正面と左の作品は青柳ナツエさんの油彩。
和服の豪華絢爛と背景の黄金の処理が見事です。
右の小品は石塚亨さん作品。
テンペラで精緻な描写をされる作家さんです。

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これは昨年の東京展において最高賞である【東京展賞】を受賞した財前みつこさんの作品。
立体部門作家ですが、壁掛けの平面的作品も作ってらっしゃいます。
じっと見てると、トンボの気持ちが分かります・・・。(失礼!)

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この作品は休会中ではありますが、東京展作家である関根恵一さんのもの。
リリカルでイマジネーション豊かです。
こういう絵がお金持ちの大きなマンションに飾ってあったら、グレードも上がりますよね。
素敵です。

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真ん中に展示されているモノトーンの作品は藤倉春日さんの絵画です。
日本画の部屋に飾ってありました。
お花を繊細華麗に表現される作家さんです。

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今現在は東京展を離れてしまいましたが、毎年神保町の文房堂ギャラリーで個展を開催される田代由子さんの、おそらく130号サイズの二点です。
10年前くらいまではカフェの中の風景やわりとインドアな絵を描いてらっしゃってましたが、ここ最近は森の中が主題となっているようです。
きっと考える所があるのだと思います。


*                *                *

ということで、5時となり、日も暮れて帰宅時間となりました。
駅前のお土産物屋さんも閉店しており、歩いて5分ほどのセブンイレブンで肉まんとフランクフルトを購入して駅構内で食べました。
待合室は新しく出来たもので、暖房完備の素晴らしい空間でした。(自分一人しかいませんでした。)
いつも思うのですが、ゼブンイレブンにもイートインを作って欲しいですね、、。
設置しない理由ってあるのでしょうか?
その他のコンビニってわりとどこもイートイン、あります。

18時過ぎ野辺山発=小海線に乗って藤沢経由で帰ってきました。
小田急を使うとけっこう安くなります。

またコレクション展もあるでしょうから、今度はもっと大作をドカンと一点寄贈させていただきたいな、と思いました。
その旨、一応副館長さんにお伝えした次第です。

私の知り合いの方も見に来て下さり、他にもちょこちょこ人が入っていました。
土日のみ開催でも2ヶ月間で100~200人でも入れば御の字ではないでしょうか。
貴重な施設です。
さらに一昨年は300万円以上かけて照明も綺麗に明るくなりました☆

10年後くらいにもう一回、個展をやらせて下さい!
よろしくお願い致します。









2021-12-28

アイザ鎌倉クリスマス展

 12月21日から26日まで、鎌倉は小町通りのアイザ鎌倉にて、湘南美術アカデミーさん主催によるクリスマス展が開催されました。
それに参加させていただく形で、我々衣笠洋画研究所関係者4人も出品致しました。

まずは染色のツクダトモエさん。

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 ギャラリーのショーウインドウに飾られたタペストリーは、今回のテーマに合わせて作成されたもの。
偉いですね。
 普通クリスマスツリーは金銀パールプレゼントに赤や緑の補色使い放題と、派手にやろうとするものですが、ここはあえてシックにまとめています。
 隣の小品『聖母マリアと幼子キリスト』もあいまって、外のベンチで休んでいるカップルも思わずうっとり見入ってました☆

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中に入って飾られていたのが、猫ちゃんの5枚。
いろいろな模様の猫がミルクを飲んでいます。
染色作品は、デザインが完璧に決まってないと仕上げられません。
色も形もよく計算されています。
そして猫ちゃんの表情がまるで仏さまのような柔和なお顔をされています。
有り難いですね・・・。


次は、ガラスの片岡操さん。

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高級な力作が並んでいます。
今の片岡さんを代表するような、円熟味を感じさせる逸品が20点ほど並んでいました。
今回13名による展観でしたが、グループ展の品格もアップしていました。
(壁掛け作品は井出章先生の作品。青がカラヤンで、赤がマリア・カラスでした。井出先生は自動車のマツダにお勤めだった方で、かの有名な前田育男さんも同僚だったとのこと。年齢的には前田氏よりも上でらっしゃるのでしょうか、「イクオちゃん」「イクオちゃん」と話されていたので、凄い方なのです☆)

斜向いの壁は、片岡さんと私=田所のコーナーとなりました。

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(アマビエと虎の置物は湘南美術アカデミーの三木先生の作品ですが、ガラス作品は片岡さんのものです。)
壁の3枚が私の絵画となります。

クリスマスと全く関係無く、皆さんに申し訳ないことをしたな、と後悔もしましたが、仏教徒である私が無理にクリスマスの絵を描いても、クリスチャンの方々に失礼だな、とも思い、寺院シリーズから中国は太原にあるお寺=玄中寺の風景画を出展致しました。
インドやネパール、そしてタイの寺院とは異なり、さすがに日本の寺院に似ています。
でも、細かいところで異なるのが非常に面白いところです。
あと、これら3枚を見ることで、玄中寺が如何に山深い所にあるかを分かっていただけるかと思います。
11月の季節感も出ていると思います。

最後に抽象絵画の細矢恵美子さん。

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 細矢さんはクリスチャンの方で、来年銀座のキリスト教系の画廊でグループ展に参加される予定です。
何も信仰者が神仏をそのまま描かなければいけないことは無いわけであって、むしろこうした内面を赤裸々に吐露する絵が今回の企画展に奥深さを与えていました。

かつて和田稠先生という方がいまして、お寺に牧師さんをお呼びしたり、ご自身も教会でお話をされる先生でいましたが、そんな時にでも念仏を唱えてらっしゃいました。

やはり本筋は【自らを問うこと】にあり、それはどの宗教でも同じことだと思います。

細矢さんの作品で、今回の企画も本当のクリスマスの意味を考えさせてくれるものになったと密かに私は嬉しく思いました。

来場者はコロナの関係もまだまだあって少なかったかもしれませんが、観にいらした方々は、そこはかとなく、【この日】の意味を感じられたかと思う次第でございます。

有難うございました☆




2021-11-23

秋の展覧会

 いろいろ多忙で更新が滞っております・・・。
m(_ _)m

 ということで、芸術の秋ですね☆
と言うよりも、もう冬が来てしまった感じです・・。

 去る9月1日から17日まで、上野の東京都美術館で開催された第56回主体美術展。

当研究所から、お二人の関係者が出品されました。

まずお一人目
細矢恵美子さん(主体美術会員)  『私の名で閉じ込めてあるもの』 F120号

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絵もすごく物語っていますが、タイトルも哲学的ですね。
名前というものは面白いもので、プラス面では、自覚が生まれる、意味や願いを叶えようと能動的になる、などの利点があります。
ネットの掲示板などでは、匿名において言いたい放題となり、相手を傷つけたりして社会問題化している昨今、名前の持つ【責任性】は重要です。
しかしながら名前を持つことで自らの内部を抑圧したりもします。
そもそも人間とは不条理な存在なので、全てを名前のもとに整理なんて出来ないわけです。
細矢さんは、ご自分の内面と常に対話をし、名状しがたい内部のもろもろをすくい取ろうとしている作家さんです。
ただ、この画面を見ていると、個人の内面にとどまらないような気がします。
細矢さんの生きてきた人生にとどまらない・・・。
つまり仏教的に言うと阿頼耶識です。
南都六宗における法相宗はインドから伝わった唯識を追求する学問的宗派です。
学問的、と言っても仏教ですから、実践を通して悟りを目指すことは当然です。
そして彼らの悟りとは、この【阿頼耶識を変革すること】となります。
阿頼耶識とは自我を超えて輪廻転生する本性のことですね。
細矢さんの【絵を描くという行為】は、そうした深い領域に関係しているような気がしてなりません。
そうしてこの絵を見る人も、自分の深い深層心理に何かを残すことになると思います。
言葉にならなくても、じっくりと対話したい絵ですね。


お次は井上雅仁さん 『Virtue and Vice of the Hybrid-Verse』 194×324cm
今回この絵で秀作賞を取り、見事会員推挙となりました。
まずはおめでとうございます☆
さらに言いますと、横浜美術協会展=ハマ展、においても協会大賞=最高賞を獲得されました!
本当におめでとうございます!!!

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難解なタイトルを直訳すると、『ハイブリッドの美徳と悪徳-詩』となります。
そしてハイブリッドとは、生物学で、異なる種類・品種の動物・植物を人工的にかけ合わせてできた交雑種、という意味となるようです。
おそらく左側が美徳を表し、右側が悪徳を表しているのでしょう。
私が勝手に解釈するに、井上さんは素直にご自分の好きなもの、愛するものをまずは描いているのだと思います。
美しい女性や愛犬、そしてメカニックなものなどです。
しかしながら、自分がとても愛するがゆえ、それが失われた時や離反した時などには、また大きな反動が自分に襲いかかります。
人間というものは、何にも執着していなければ、何を失ってもどうってことありません。
それが自分の命であったとしても・・・。
しかし人間は愛するものです。
誰かを愛し、何かを愛する。
それが深れば深いほど、いつかはそれらと別れなければならない苦しみに苛まれます。
そうした葛藤を絵で表現しているのだと思います。
美徳の塊と悪徳の塊の境には、暗いモノクロームで多くの人々が格闘しています。
よく見ると一番上の人間は天に両手をかざして救いを求めているようです。
その先にいったい何があるのか?
神か仏か、あるいは・・・・・。

いずれにしても、超大作であり、会場でもそのド迫力で”超”目立ってました!



10月にはこれも上野の東京都美術館にて、第47回美術の祭典・東京展が開催されました。

当研究所からは私と含めて3人の関係者が出展しました。


ツクダトモエさん 『UTSUROI』 染織作品

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 小さい作品では、佃さんの蝶々は見たことがあります。
しかし今回は画面に大きく一匹の蝶々が止まっています。
いったん上に上がろうとして、それからすぐに左下に下降。さらに右下に降りようとしています。
蝶は飛ぶもの、という固定観念がありますが、この蝶は歩いていますね。
蝶は【変身】のメタファーでもありましょう。
万華鏡のようなこの世にあって、あとはゆっくり次なる人生に思いを馳せている、そんな状況かもしれません。
これからの10年、20年、そしてもっと長い期間、出会いは用意されています。
その出会いは必然であり、意味のあるものです。
苦しいこともあるでしょうが、出会いの意味が分かれば、その全てが喜びとなります。
そうした、佃さんにとってのこれからが作品にどう反映されていくのか?私は注意深く見守りたいと思います。
それは私にとっての喜びでもあります。
 
 この作品に関して言いますと、明暗計画、色彩計画がシンプルながらもよく推敲されていて、とても美しいと思います。



次にご紹介するのは私の大学同期生であった熊谷宗一さんです。
私が10年前にインドに行っていた時に、教室にて代わりの指導をしてもらっていたこともありました。

今回は東京展特別企画である『東京展EYES』の招待作家として出品してもらいました。

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 最近は主に鉛筆を使った稠密な作品を発表しています。
支持体は時に羊皮紙だったりして、その素材の拘りは半端ありません。
もちろん鉛筆にしても手に入る、ありとあらゆる鉛筆を試しているそうです。
 内容的には無意識の世界を探求しているように感じられます。
そもそも美術というものは、【目に見えないものをビジュアル化するもの】です。
目に見える通り描いたら、それは表現ではなくて、再現になります。
やはりアートは【表現】であるべきです。
しかしながら熊谷氏の【普段は見えない世界】はとてつもなく複雑で魅力的です。
彼の眼(まなこ)は特別製で、誰にも見えない世界が厳然と見えるのだと思います。
もの凄い才能ですね。
その証拠に、美術の窓12月号の展評に掲載されました☆
出たばかりなので、書店に行けば見れると思います。(P322です。)
今回優秀揃いのEYES企画作家8名の中でも2名しか載っていません。
窓さんの目の付け所は正しいと思います!


 最後に私の作品を紹介させていただきます。

田所一紘 『玄中寺』 約500号 と『玄中寺塔頭の山門』

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 寺院シリーズ第5弾となるは中国・太原にある古刹=玄中寺です。
なぜ玄中寺かと言いいますと、浄土真宗七高僧のうち、中国人である、曇鸞・道綽・善導が住まわれていたお寺だからです。
画面右下に彼らの名前がありますが、この筆跡は親鸞聖人の直筆の書体を借りました。
名札のように見えますが、石碑のイメージですね。
実際一昨年に取材に行ったのですが、一番古いものはやはり石碑なのです。
石碑が一番残ります。
あとはどうしても新しい。
一番古い建物で、明の時代だそうです。
だから私の絵では、かなり新しい建造物の合成となっています。
ただ、相変わらず山深い風景は往時とそう変わらないでしょう。
その断崖のような形も上部に取り入れて構成してみました。
 このシリーズは寺院へのリスペクトとともに【その後の解体と発展】みたいなイメージを盛り込むことにコンセプトがあります。
屋根飾りのライオンの上部が破損している部分に、その意味合いを込めたつもりです。
あまり激越なことはどうしても出来ません・・・。
そしてシンメトリーとアンシンメトリーのせめぎ合いを構成の大きなポイントとしてエスキースしました。
そのあたりが一番の見どころになっているのではないか、と自画自賛させていただきます。笑

 今現在は法隆寺に取り掛かっています。
コロナの関係で韓国に取材に行けなかったからです。

なので、あと残るは、

韓国のお寺=ひとつ
延暦寺
本願寺
横須賀の長願寺

という流れとなります。(とりあえず全10ヵ寺、という計画なのです。)

 どうぞ末永くお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

プロフィール

キヌケン

Author:キヌケン
FC2ブログへようこそ!
横須賀は衣笠という町で絵の教室を主宰しております。
私自身は、東京藝術大学絵画科油画専攻(学部・大学院)に学びました。
個展、美術の祭典・東京展(上野)、および現代絵画シリウスというグループを結成して活動してます。

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