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2023-09-05

石膏デッサン2時間制作

学芸大学美術B類の推薦入試においては、石膏胸像をたった2時間で描かせます。
そこで学生向けにデモンストレーションしてみました。

パジャント1のコピー60

まず、構図から入ります。
私は『ナワバリ・アタリ・カタチドリ』という標語で教えています。
上下左右の切り方、入り方を適正に取っていきます。
そして胸像の場合、最も大事なポイントは顎の位置です。
縦ラインにおいて、どの場所に来るのか?
横ラインにおいて、どの場所に来るのか?
その座標から得られる穏当な一点を決めます。
ここで構図の全てが決まってしまう、と言って過言は無いでしょう。

パジャント2のコピー60

毎回代わり映えしないことを言ってますが、輪郭線が大雑把に取れたら、次に形態感を表す調子(明暗)をザックリ塗っていきます。
顔は正面・側面を分ける稜線が大事です。
その稜線が耳の下を通って、首筋、、そして鎖骨の合わせ目に合流します。
以上の形態感を表す調子までがいわゆる【ベース】となります。

パジャント3のコピー60

 次に布などでこすらないで、どこまで行けるか、ある程度限界まで木炭一本(あるいは鉛筆一本)で描き込むのが田所流。
この段階まで来るのに、1時間半かかりました。
今回木炭はシンプルに伊研のN0.360のみを使用しました。
写真で見ると薄い印象ですが、それなりに色を乗せています。
そしてついに布で陰影の部分を力を入れて擦ります。
こうすることで、調子の幅が出て、描き込みやすくなります。

そして後半戦を経て、2時間デッサンの完成へ。

パジャント4のコピー60

 顔の印象にけっこう手こずりました。
そのまま写すと、アルカイック・スマイルすぎる面もあるので、ちょっと人間ぽく誇張しました。
描き足りない部分は随所にありますが、そこは2時間デッサンということでご容赦いただいて、それでも、省略しているからこそ、見えてくるものがあります。
 1番大事なものは、やはり【芯】ということになります。
そこにほぼ左右対称な両肩が横に広がります。
パジャントの【構造】を表現することが第一義です。

そして顔と胸とが、おおらかな空間を形作っている、その印象もおおいに大切です。

久々に短時間ながらデッサンをして、楽しい時間でもありました☆



2023-06-21

第82回YB公募展

 今年もYB展の季節がやってまいりました。
初夏は公募展なので、会員さん以外でもたくさんの一般出品者が作品を競っています。
とても興味深い内容となっていました☆

当教室の関係者である方々の作品を見ていきたいと思います。

DSC_4984のコピー60

 まずは細矢恵美子さんの『ああ、いつになったら・・・』 F100号です。
ただならぬ妖気を発していますね。
心臓のような生命体のような不思議な形は、安易な言葉の解釈を超えて、とても胸に響いて来ます。
作者はゾーン(究極の集中状態)に入って描いていると思われます。
その一心不乱さが観る人を感動させます。
意識の底の方を旅してくる感じ・・・。
ちゃんと帰って来れるのがまた凄いところです。
素晴らしいと思います。


DSC_4987のコピー60

 加藤佐榮子さんの『青の軌跡』 F100号です。
どこかゴーギャンを想わせます。
二人の女性像であり、対話をしている印象です。
色彩はブルー系で統一されていますが、とても豊穣なイメージが伝わって来ます。
心を豊かにしてくれる絵です。
髪の毛をコンポーズブルーにして、バラを青くすることで、つまり固有色から解放されて凡庸さから脱却し、表現の世界に跳躍していますね。
チェック模様や白黒の床などがクールな構造となって画面を引き締めてくれるので、安心して見ていられます。


DSC_4985のコピー60

新村慶子さんの『森の声明』 
サイズの詳細は分かりませんが、かなりの大作です。
構成的な色面分割の中に鳥や鹿やリスが遊んでいます。
兎やフクロウもいます。
作者は弱肉強食の自然より、【共生の自然】を表現したかったのでしょう。
それは取りも直さず、人間界に対するメッセージでもあります。
平和への希求を強く感じました。


DSC_4986のコピー60

原恭子さんの『希望・そして一抹の不安も』 F100号
確かな描写力に支えられた、思い切った表現かと思います。
作者は不用意に女子高生を美化したりしません。
思春期の心躍るトキメキと、将来への漠たる不安感。
それが共存して日々を懸命に生きているのが若者でしょう。
以前抽象を描かれたいらした時の形態が登場し、【原さんワールド】として写実と抽象が統合されて、完成の域に達したな、と思います。
様々な想像を喚起して、思考が沈潜していく・・・。そんな含蓄のある、見応え充分な絵となっています。


DSC_4992のコピー60

加山雅子さん 『Largo』
Largoとは、イタリア語で【幅広い、ゆったりした】という意味だそうです。(英語で言うLargeですね。)
構成的な風景画で、清々しい空気が流れています。
背景や右手前の岩などを幾何学的に処理するところなど、とてもおもしろい試みです。
自転車に乗っている人物や犬、そして滑空する紙飛行機など、きっと作者にとって大切な関係にあるのでしょう。
それは実際聞いてみないことには分かりませんが、そうした【思い】を画面に定着することの出来る【絵画という器】はあらためて素敵なものだと実感致します。
作者の思いが音となって、手紙となって、大切な人たちにちゃんと届きますように☆


DSC_5003 u 60

橋本まちこさん 『ツバキの咲くころ』
50号くらいでしょうか、(間違っていたら「ごめんなさい!)
おそらく作者にとって、とても大事な人を描かれているのだと思います。
杖をついていらっしゃるので、それなりの年配の方だと思います。
立体感を強調する明暗法を使わずに、より平面的に、“表情”で描き分けようとしているようです。
ご自分の使いたい色で、お気に入りの形で描いていらっしゃいます。
橋本さんの絵にいつも感じるのは、【競争している絵】ではないな、ということ。
あくまで、ご自分のテーマでご自分が表現したいように描き進めていらっしゃる。
そうした一貫した姿勢はとても素晴らしい、と勉強させていただいております。


DSC_5000 u60

最後となってしまいましたが、沼田敏先生の『帆走が見える日』です。
とても潤いのある中間色が空間に当てはまって、気持ち良いです☆
さりげない樹木の省略の仕方も素敵ですね。
そして地面から海、さらに空と雲につながる展開も心躍るものがあります。
三浦半島に生活していて本当に良かったなあ、といつも思わされます。
ここには作者の達観があります。
絵って、素晴らしいものですね!



その他、ここで画像を紹介することは遠慮させていただきますが、

青静世さん、YB賞おめでとうございます!!!

近藤俊子さん、シンピジウムの絵、素直でストレートで、とても気持ちの良い絵でした☆

藤原アツさん、石田俊哉さん、いつもお世話になっております!
お二方の【変化】に拍手を送らせて下さい☆

柿崎賢司さん、最近の絵は、ニューペインティングのようで、勢いがあって好きです!!

堀岡正子さん、今回は小ぶりな絵でしたが、迫力十分! 見飽きない絵でございました☆

直接面識の無い方々の作品も素晴らしいものがたくさんありました。

6月24日(土)まで、横須賀市文化会館市民ギャラリーにて開催しております。
皆さんも是非見に行かれて下さい!









2023-02-07

探しています! 三井正登先生の絵☆

今年の三彩会展に合わせて3月30日から開催する『三井正登先生回顧展』。

三井先生回顧展DM表面プラン2群れのコピー50      三井先生回顧展DMプラン1のコピー50



先生は、衣笠洋画研究所の開設者で、およそ20年前に90歳で逝去されました。

横須賀市文化会館市民ギャラリーの第2ギャラリーで展観しますが、大作もそれなりに並べたいと考えています。


つきましては、以下の作品を捜索しております。

どこかで見たことがある方、実際に所有してらっしゃる方、情報を下さい☆

DSC_3576 60      DSC_3577 60

両方とも大きい絵です。
もしお借りできれば、もちろん運搬はこちらで行いますし、お礼も差し上げたいと思います。


あるいは、他の作品を所有の方。
お貸しいただけるようでしたらご一報下さいませ。

→ 田所一紘 TEL 090-8497-9574
   メアド   kinuken.aonosikou@gmail.com


何卒よろしくお願い申し上げます。




2023-01-24

細谷恵美子さん個展

1月23日(月)より29日(日)まで、横浜・関内は画廊楽において、主体美術協会会員の細谷恵美子さんの個展が開催されています。

https://gallery-raku.com/

hosoya.png

私は飾り付けのお手伝いに行ったのですが、物凄い密度と迫力で、見応え充分でした☆

何せ一階だけでも画廊としては広い空間なのに、二階も占有して大個展となっています!


DSC_3398 50

↑は一階会場風景。
この隣の壁面に130号+130号+120号の大画面が鎮座しており、迫力満点です。


DSC_3334 50

↑は二階風景。
二階だけでも格調が高く【細谷ワールド】に浸れます。
四方、細谷さんの作品に囲まれていると、何だか宇宙の中に遊んでいるような、深海の中を周遊しているような感覚となります。

ぜひぜひ多くの方に細谷さんの作品世界を堪能していただきたいと思います☆


細谷さんは観念的な人ではなく、むしろそれの対極にいます。
そして無心に絵を描いて描いて描きまくって、大きなピークをいくつも築き上げました。
理屈抜きに非凡な感性と真摯な取り組みに感動します。

基本的に抽象画ですが、どんな人にでもアピールする、“琴線に触れる”絵画です。

絵を観て、鑑賞者が自らと対話出来る内容でもありますね。

本当にオススメです!!!



2023-01-13

人物写生会のお知らせ

人物写生会の日程が決まりました。




◯ 1月29日(日)10:00-12:00 13:00-15:00 (4H)




◯ 2月19日(日)10:00-12:00 13:00-15:00 (4H)




となります。



両日は着衣女性モデルですが、別々のモデルさんとなります。


場所は当教室です。



今回、実験的に2時間・2時間で行い、間は食事休憩に致します。




15時から講評を行います。


是非ともご参加下さいますようお願い致します。


プロフィール

キヌケン

Author:キヌケン
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横須賀は衣笠という町で絵の教室を主宰しております。
私自身は、東京藝術大学絵画科油画専攻(学部・大学院)に学びました。
個展、美術の祭典・東京展(上野)、および現代絵画シリウスというグループを結成して活動してます。

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